自然給気・機械排気の第3種換気方式には、複数の機械で換気を行なう個別換気方式と、1台の機械で換気を行なう集中換気方式(システム換気)の2種類があります。今回は、個別換気方式について説明したいと思います。
個別換気方式は、居室(長い時間そこに居る部屋、りビング・ダイニング・主寝室・子供部屋など)に給気口を設けて新鮮な空気を取り込み、洗面所やトイレ・収納などにパイプファンと呼ばれる壁付けの小型換気扇を設けて排気を行なう計画が基本となっています。
インテリアパネル型のパイプファンです(横にスリットがあるタイプです)
設置コストも安く、メンテナンスも楽なので、住宅で最も採用されている換気方式ではありますが、計画上気を付けなければならないポイントがいくつかあります。
一番気を付けなければならないのが、コールドドラフトと呼ばれる、不快な冷気に対する計画です。
コールドドラフトは、冬場、給気口から取り込まれた外気(冷気)が、室内空気と十分混ざりあわないうちに人体に到達し、「冷たくて不快」と感じる現象で、ベッドの上や勉強机脇など、人と近い場所に給気口を設置すると必ず起きる現象です。
対策としては、人からなるべく距離が取れる場所に設置するのですが、エアコンや換気扇、開口部などの位置関係を考慮しないと有効な給気口にはなりません。
(具体的な事例紹介は、設計ノウハウになるので割愛させて下さい)
個人的な感想で言えば、「しっかりとした換気計画をしている」と感心する建物は、静岡県があまり断熱や換気のことを真剣に検討する必要のない温暖な地域のせいもありますが、建築士の設計した建物でもそう多くはありません。
もう一つ、気を付けなければならないポイントは、「給気不足」です。
「φ100のパイプファンだから、同じ数だけφ100の給気口を設置する」という設計を良く見掛けますが、これは全くのデタラメです。
自然給気口には定格があって、その数字はパイプファンの換気量よりもずっと少ないから、パイプファンよりも多くの給気口を設置しないと「換気計画をした」ということにはなりません。(確認申請上は、これでも通ってしまいますが・・・)
さらに言えば、給気口は実際には定格風量よりもずっと少ない風量しか給気することが出来ず、定格風量で計算して給気口の数を設定しても給気不足状態となるため、その不足分を外壁や開口部などの隙間から「漏気」「隙間風」と言われる外気で補う「計画外給気」をすることになります。
高気密高断熱住宅を謳っている建物で隙間風に悩まされるようであれば、給気口の能力不足を疑うべきです。(図面で簡単に分かります)
薪ストーブが無い状態でも基本給気不足なのですから、薪ストーブが稼働した時には、さらに不足状態が助長されてしまいます。
そのあたりの問題点と対策については、次回記事で詳しく書きたいと思います。
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